僕が社会人になって吸排気製品の設計部に配属されて間もない、まだペーペーだった頃の話。
ゴヴァッ ゴヴァッ、普通とは明らかに異なる吸気音といかついボディをした真っ白なクルマが一台 会社の実験部隊にありました。
それは日産のグループB モンスターマシン、シルビア240RS。WRCマシンとして、ごく少ない台数が作られ日本国内では販売されてないモデル。とあるラリーチームの元で国内登録されることになり、触媒開発のために入庫していたのでした。
わあっ、憧れの240RS! まだ新入社員だった自分はすこし離れたところから、その勇姿を眺めるしかなかったのですが、大きく開口されたフロントグリルと、幅広のいかついオーバーフェンダー!
一般人には出会うチャンスもない、貴重な一台との遭遇にワクワク、はやく一人前になってあんなスーパーマシンのマフラーをこの手で設計したいっ! 胸を熱くしたものでした。
当時の自分はただのクルマ好きでしかなく、将来 自分でチューニングショップを運営するなんて夢にも思わなかったのですが、思い返してみるとこのシルビア240RSとの出会いが、現在のHRSにつながる原点になったような気がします。